これから家づくりをしようと考えている方の中には、猫を飼っている方もいるのではないでしょうか。
ハゲカケらんなーこと私も、3匹の猫と暮らしています。
一般社団法人ペットフード協会の調査(2021年)によると、国内の猫の飼育数は894万匹と推計されており、全世帯の8.94%で飼育されているとのことです。
コロナ禍により家にいる時間が増えたことから、猫を飼い始める家庭も増えているようです。(ちなみに、犬の飼育数は減少傾向とのこと。)
愛猫との生活のために、キャットウォークの設置やトイレの場所、建具の設えなど、色々な工夫を考えます。
一方で、室内の温湿環境に目を向ける方は少ないのではなないでしょうか。
実は、人間と同様、猫にとっても室内の温湿環境を整えることは、猫が健康に生活する上で重要です。
我が家は、長女:サチ(7歳)、次女:メチャ(7歳)、三女:シロ(1歳)の3匹の猫と暮らしています。
猫が快適と感じる室温は人間とほぼ一緒
猫は「暑さに強く寒さに弱い」というイメージがありますが、「そこまで暑さにも強くなく、寒さにもそこまで弱くない」ようです。
見てわかるように猫の体皮は毛で覆われていますので、一定程度の寒さにも耐えられます。
猫の祖先は砂漠地帯にいましたので、暑さには強いと思われがちですが、猫は肉球にしか汗をかかず、温度調節が苦手なため、暑さにもそこまで強い訳ではないようです。
同じ猫でも、長毛種や短毛種、体の大きさにも違いがありますが、概ね20℃から28℃(夏27℃前後、冬23度前後)が猫にとって快適な室温と言われています。
人が快適に生活できる室温は、夏は25℃から28℃、冬は18℃から22℃程度と言われています。
猫は人よりも体温が高い(平熱が38℃)ので、快適な室温が若干高めですが、人が快適と感じられる室温であれば、猫にとっても快適であると言えそうです。
子猫やシニア猫の場合は少し注意
自分で動きまわれないくらいの赤ちゃん猫の場合は、体温調整ができないので、しっかり保温してあげる必要がありますが、この場合は猫の居場所だけ保温してあげれば十分です。概ね30℃くらいが目安です。
シニア猫は発熱量が減りますので、28℃くらいが適温とされています。急激な温度変化にも弱くなっていますので、年間を通じて25℃から28℃くらいの一定の室温を保つことが望ましいです。
温度差には敏感
「季節の変わり目」は気温が大きく変化しがちです。
このような時期は猫が不調になりやすい時期です。
人も猫も同じですが、温度の変化に対応するために、自律神経を働かせて血管を拡張・収縮させています。
温度変化は自律神経の乱れを誘発することから、食欲の低下や胃腸の調子が悪くなるといった症状が出ることがあります。
特に体の小さい猫の場合はそれが顕著です。
猫は室内飼いが原則ですから、室内の環境を一定に保ち、快適な室温とすることでそういった不調を軽減することができます。
サチは7歳になってから、季節の変わり目などで温度変化が大きいと、お腹を壊すことが増えてきました。猫の7歳は人間で言うと45歳前後。若い時は平気でも、年齢を重ねてくると、温度変化に敏感になってくるようです。
冬の湿度の低下に注意
冬は外気の湿度が低下しますので、どうしても湿度が不足しがちです。
猫も人と同じで、湿度が低下すると、風邪をひきやすくなったり、皮膚トラブルや肉球のひび割れができてしまうこともあります。
また、被毛と室内の素材が擦れることで、被毛に静電気を溜め込みやすくなるため、静電気放電ショックも発生します。
これらのことを防止するため、室内の湿度は50~60%とすることが望ましいとされています。
人の場合も、冬の湿度は40~60%程度が望ましいとされていることから、人が快適な湿度は猫も快適と言えそうです。
室内の温熱環境を整えるためには住宅の断熱化は必須
室内の温熱環境を整えるためには、住宅を断熱化する必要があります。
住宅を断熱化することによって、室内の温度変化を少なくすることができます。
「断熱化しなくても冬は暖房を付ければいい」と思われるかもしれませんが、断熱化されていない住宅では、暖房を使用していても室内の天井部と床部で温度差が生じてしまいます。
猫は高いところでも低いところでも生活しますので、移動により温度差の影響を体に受けてしまいます。
また、断熱化していない住宅は、部屋間の温度変化が大きくなってしまいます。
暖房している部屋は暖かいのに、廊下に出ると寒いということになりがちです。
このような温度変化も猫への体の負担は大きくなります。
これらのことは、私たちの体にも同様に負担となります。
室内の上下の温度差により作りだされる気流により足元が余計に寒く感じたり、部屋間の温度差は人にとっても体への負担が大きいです。
また、断熱化していない住宅の室温を保つためにはより多くのエネルギーを必要とするため、家計の負担も増大します。
愛猫の健康、自分の健康、家計の健全を保つためにも、住宅の断熱化は重要です。
住宅の断熱性能の効果については、別記事にまとめています。
とある北寄りの地方で、建築職の地方公務員として20年以上の勤務経験があります。
住宅の性能に着目した家づくりの重要性についてお伝えしています。
【保有資格:一級建築士・(特定)建築基準適合判定資格者】