建築基準法上の建築物の定義は以前解説したましたが、畑に建っているビニールハウス、あれは建築物になるのでしょうか。
この取り扱いについて解説します。
最初に結論を言うと、「建築物になるものとならないものがある」ということになります。
その理由を解説していきます。
建築物の定義から考えてみる
建築物になるかどうか、まずは建築物の定義から考えてみましょう。
次の項目について検討していきます。
- 土地に定着しているか
- 屋根及び柱又は壁があるか
順番に見ていきましょう。
まず、土地に定着しているか。これは随時かつ任意には移動できないので該当しそうですね。
次に、屋根及び柱又は壁があるかですが、骨組みはあるので柱はありますね。屋根と壁の区別がつき難いですがどちらもあります。
このことから、基本的にはビニールハウスは建築物に該当すると言えそうですね。
確認申請が必要か
では、ビニールハウスは確認申請が必要か否か。
実は、必ずしもそうではありません。
昔は、ビニールハウスと言えば半円形の簡易なものが主流でしたので、「ビニールハウス=建築物ではない」と一般に認識されていました。
当時の取り扱いとしては、「簡易に屋根が取り外せるものは建築物として取り扱わない」という考え方でした。
時代は進み、農業技術の進歩に伴いビニールハウスも大型化していきましたが、その「簡易に」という考え方に特定行政庁の間でズレが生じてきます。
「どこまでが簡易か」という問題です。
また、農業保護という観点からもビニールハウスを建築物として取り扱うかどうかは重要な問題でした。
イニシャルコストに大きく関わる問題だからです。
そこで、現在では、各特定行政庁毎に独自に取り扱いを定めるようになっているのが現状です。
特定行政庁の取り扱いを見てみよう
では、特定行政庁の取り扱いはどのようになっているのでしょうか。
上記は一例ですが、特定行政庁によって様々ですね。
富山県では「どこまでが簡易か」を割と明確に示していますが、示していない特定行政庁が多いですね。
また、用途を「農業用」に限定しているのは共通していますね。
ビニールハウスを農業用以外で使用する場合は、原則として建築物として見ますよということです。
なお、ここでいう「農業用」とは、農業に関するもの全般という意味ではなくて、「農作物を育てるためのもの」という意味ですので、農機具の保管などのためのものは対象外であることに注意が必要です。
まとめ
ビニールハウスの取り扱いは、一般的には次のとおりと考えられます。
農業用 → 建築物ではない
農業用以外 → 建築物
※「農業用」の意味については要注意!
具体の取り扱いは、特定行政庁に確認を忘れずに。
とある北寄りの地方で、建築職の地方公務員として20年以上の勤務経験があります。
住宅の性能に着目した家づくりの重要性についてお伝えしています。
【保有資格:一級建築士・(特定)建築基準適合判定資格者】