ツリーハウスって魅力的ですよね。
自然の中に溶け込む家。
憧れを抱く方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ところで、ツリーハウスは建築物になるのか?
建築基準法の観点から解説していきます。
まず、建築基準法でいう建築物とは何か。
これについては以前解説していますので、こちらをご覧ください。
ツリーハウスは建築物になるか?
さて、ツリーハウスは建築物か。(ちなみにここでいうツリーハウスは、自然の立木を柱に使ったり、支持して作られるものを言っています。)
ポイントは、次の点に尽きます。
土地に定着しているか否か
土地に定着しているとは、強固に地面に固定されている状態のことだけを言うのではありません。
随時かつ任意に移動できるか否かが焦点となります。
ツリーハウスは木を柱の代わりに使ったり、木に固定して作ります。
このことから、随時かつ任意に移動できるものではありませんので、ツリーハウスは建築物として扱うのが妥当とも思われます。
一方で、ツリーハウスの取り扱いについては、国土交通省が見解を出しています。
それが、令和3年6月29日付国住指第1237号(国土交通省住宅局建築指導課長が沖縄県土木部建築部建築指導課長の照会に対して回答した文書)になります。
この取り扱いは、国土交通省のHPで公表されているものではありません。
一般財団法人建築行政情報センターの「法令データベース」内(※有料)で確認した情報になります。
国住指第1237号
令和3年6月29日
沖縄県土木建築部建築指導課長 殿
国土交通省住宅局建築指導課長
(公印省略)
自然木を利用して設置した、いわゆるツリーハウスの取扱いについて(回答)
令和3年6月28日付土建第453号により照会のあった標題の件について、下記のとおり回答します。
記
照会のあった事案は、建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号の建築物の定義にある「土地に定着する工作物」に通常該当せず、また、同号の「高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設」にも通常該当しないため、同号に規定する「建築物」には通常該当しない。
沖縄県が照会したツリーハウスについては、建築物には通常該当しないとされています。
ただし、沖縄県がどのような事案を照会したのか、通常とはどこまでのものを指すのかは明確にされていません。
一方で、ツリーハウスの取り扱いを明確にしている自治体(特定行政庁)もあるようです。
例:宮崎県(参照:建築基準法等に関する取扱い集)
探せたのは宮崎県だけですが、他の自治体でも取り扱いを公表している場合もあるかもしれません。
ツリーハウスをつくりたい場合は、念のため自治体に確認する必要がありそうですね。
確認申請は必要か?
仮に、建築物に該当したからと言って、確認申請が必要とは限りません。
多くのツリーハウスは、いわゆる「4号建築物」に該当すると考えられるからです。
4号建築物とは、法第6条第1項第4号に該当する建築物ですね。
4号建築物は、都市計画区域外、準都市計画区域外、準景観地区外及び自治体の指定区域外であれば、確認申請を必要としません。
自然豊かな場所に建てられるツリーハウスは、確認申請を必要としない区域であることが多いかもしれませんね。
ただし、自治体の区域全体を確認申請が必要な区域としている場合もあるので注意が必要です。
確認申請が不要であれば好きに建ててOK?
確認申請が不要であれば好きに建てていいかと言えば、そういうことではありません。
確認申請が必要でなくても、建築基準法に適合する建築物とする必要があります。
「確認申請が必要ない=建築基準法の適用がない」ではありませんので、ご注意ください。
防火地域及び準防火地域以外の地域では、10㎡以下の増築等であれば確認申請は不要ですが、同様の理由で建築基準法の適用がないものではありません。
ツリーハウスは確認済証の交付を受けることができるか?
ツリーハウスが確認済証の交付を受けることができるかは、難しい質問ですね。
安全性をどう証明するかということになりますが、構造上の安全性を建築基準法に則って説明することはできないと思いますので、ツリーハウスで確認済証の交付を受けることはできないと思います。
個人が趣味としてツリーハウスを作って使用する分には建築物として取り扱われないと思いますが、それ以上のものになる場合は自治体に確認しておくことをお勧めします。
とある北寄りの地方で、建築職の地方公務員として20年以上の勤務経験があります。
住宅の性能に着目した家づくりの重要性についてお伝えしています。
【保有資格:一級建築士・(特定)建築基準適合判定資格者】