農地の上に支柱を建てて太陽光発電パネルを設置しているというニュースを見て、ふと思いました。
これって建築物になるのか?
調べてみたので解説します。
建築基準法上の取り扱い
平成26年1月28日付国住指第3762号において、国土交通省から各都道府県に対し「農地に支柱を立てて設置する太陽光発電設備の建築基準法上の取扱いについて(技術的助言)」という通知が発出されています。
この通知には次のとおり記載されています。
農地に支柱を立てて設置する太陽光発電設備(当該支柱について、農地法(昭和27年法律第229号)第4条第1項又は第5条第1項の許可(市街化区域内にある農地にあっては農業委員会への届出)を受けたものに限る。)のうち、次に該当するものは建築基準法第2条第1号に規定する建築物には該当しない。
1.特定の者が使用する営農を継続する農地に設けるものであること。
2.支柱及び太陽光発電設備からなる空間には壁を設けず、かつ、太陽光発電設備のパネルの角度、間隔等からみて農作物の生育に適した日照量を保つための設計となっていること。
この通知を要約すると、次のすべてに該当する場合は建築物とはならないということになります。
- 太陽光発電設備の支柱について、農地転用の許可又は農地以外の目的として使用するための農地の賃貸借等に係る許可を受けること。
- 当該農地について営農を継続すること
- 農作物の生育に影響がないよう日射量が確保されていること
一方で、本当に営農を継続しているのか、農作物の生育に影響が出ていないかどうかというのをどのように判断するか。
この判断については、最初の条件である農地法の許可で担保されているようです。
詳しく見ていきましょう。
農地法上の取り扱い
農地法上の取り扱いについては、平成25年3月31日付24農振第2657号において、農林水産省から各都道府県等に対し、「支柱を立てて営農を継続する太陽光発電設備等についての農地転用許可制度上の取扱いについて」という通知が発出されています。
この通知の内容について解説していきます。
許可には期限がある
太陽光発電設備の支柱については農地法上の許可が必要ですが、この許可は一時的な許可であり、その期間は3年となっています。
ただし、3年毎に許可を受けることができれば、継続して太陽光発電設備を設置することが可能です。
許可の条件
許可を受けるためには、営農がしっかり行われていることが必要ですが、次に該当する場合は不適当とされ許可を受けることができません。
- 農地における単収が、同じ年の地域の平均的な単収と比較しておおむね2割以上減少している場合
- 生産された農作物の品質に著しい劣化が生じていると認められる場合
- 農作業に必要な機械等を効率的に利用することが困難であると認められる場合
さらに、毎年、当該農地で生産された農作物の状況について報告し、許可条件を満たしていない場合は、太陽項発電設備を撤去しなければなりません。
まとめ
農地に太陽光発電設備を設置しようとする場合は、うまく営農に影響が出ないように太陽光発電設備を設置すれば、農地法上の許可も得られるし、建築基準法上の建築物には該当しないということになりますね。
とある北寄りの地方で、建築職の地方公務員として20年以上の勤務経験があります。
住宅の性能に着目した家づくりの重要性についてお伝えしています。
【保有資格:一級建築士・(特定)建築基準適合判定資格者】