確認申請は何を審査しているの?【全ての法律への適合を審査している訳ではない】

確認申請は何を審査しているの?【全ての法律への適合を審査している訳ではない】
ハゲカケ
ハゲカケ

確認申請が必要な建築物については以前解説しましたが、そもそも確認申請は何を審査しているのか。

確認申請の審査内容について解説します。

確認申請は何を審査しているのか。

まずは、条文を確認してみましょう。

(建築物の建築等に関する申請及び確認)

第六条 建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。)その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。

そうです。

確認申請とは、建築基準関係規定に適合しているかどうかを審査するものです。

では、建築基準関係規定とは何かというと、赤字で記載されている部分になりますね。

これを要約すると次のとおりです。

  • 建築基準法(建築基準法施行令、建築基準法施行規則を含む)並びにこれに基づく命令及び建築基準法に基づき自治体が定める条例
  • その他政令で定めるもの

一部政令に委任していますね。では、政令を見てみましょう。

建築基準法施行令第9条になります。

第九条 法第六条第一項(法第八十七条第一項、法第八十七条の四(法第八十八条第一項及び第二項において準用する場合を含む。)並びに法第八十八条第一項及び第二項において準用する場合を含む。)の政令で定める規定は、次に掲げる法律の規定並びにこれらの規定に基づく命令及び条例の規定で建築物の敷地、構造又は建築設備に係るものとする。

一 消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第九条、第九条の二、第十五条及び第十七条

二 屋外広告物法(昭和二十四年法律第百八十九号)第三条から第五条まで(広告物の表示及び広告物を掲出する物件の設置の禁止又は制限に係る部分に限る。)

三 港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第四十条第一項

四 高圧ガス保安法(昭和二十六年法律第二百四号)第二十四条

五 ガス事業法(昭和二十九年法律第五十一号)第百六十二条

六 駐車場法(昭和三十二年法律第百六号)第二十条

七 水道法(昭和三十二年法律第百七十七号)第十六条

八 下水道法(昭和三十三年法律第七十九号)第十条第一項及び第三項、第二十五条の二並びに第三十条第一項

九 宅地造成等規制法(昭和三十六年法律第百九十一号)第八条第一項及び第十二条第一項

十 流通業務市街地の整備に関する法律(昭和四十一年法律第百十号)第五条第一項

十一 液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(昭和四十二年法律第百四十九号)第三十八条の二

十二 都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第二十九条第一項及び第二項、第三十五条の二第一項、第四十一条第二項(同法第三十五条の二第四項において準用する場合を含む。)、第四十二条、第四十三条第一項並びに第五十三条第一項並びに同条第二項において準用する同法第五十二条の二第二項

十三 特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法(昭和五十三年法律第二十六号)第五条第一項から第三項まで(同条第五項において準用する場合を含む。)

十四 自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律(昭和五十五年法律第八十七号)第五条第四項

十五 浄化槽法(昭和五十八年法律第四十三号)第三条の二第一項

十六 特定都市河川浸水被害対策法(平成十五年法律第七十七号)第八条

要約すると次のとおりです。

  • 第1号から第16号に定める規定
  • 第1号から第16号の規定に基づく命令
  • 第1号から第16号の規定に基づき自治体が定める条例

でも実はこれだけではないんです。

建築基準法に規定する他に、他の法令において「建築基準関係規定とする」旨の規定を置いているものがあるのです。

それが次の規定です。

  • 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律第14条第3項
  • 建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律第11条第1項
  • 都市緑地法第35条、36条、39条第1項

これらの規定は、バリアフリー基準への適合義務、省エネ基準への適合義務、及び緑化率の規定ですね。

適合義務なので建築確認申請でチェックしようということです。

建築基準法施行令第9条に追加で規定すればいいのに…

わざわざ分かりにくくするというのが法律ですね。

ハゲカケ
ハゲカケ

ということで、確認申請により審査対象となる項目は以上です。

逆に言えば、これら以外のものは審査の対象ではないということです。

よって、確認済証の交付を受けたからと言って、全ての法律に適合している訳ではないので注意が必要ですね。