家を建てる時、カーポートはお金に余裕ができたら…と、後で建てる場合がありますよね?
カーポートはホームセンターなどでも取り扱っており、気軽に建てられるイメージがありますが、実際のところどうなんでしょうか。
それでは、解説していきましょう。
建築物になるの?シリーズは以前にも数件やっておりますので、流れはお分かりですよね。
まずは、建築物の定義から考えて行きましょう。
ポイントは次の2点ですね。
- 土地に定着しているか
- 屋根及び柱又は壁があるか
カーポートは、もちろん随時かつ任意に動かせませんので土地に定着していると言えます。
また、壁はないことが多いと思いますが、少なくとも屋根と柱はありますね。
ということは、建築物になるということです。
それでは、カーポートを建てる際の注意事項についてまとめていきます。
そもそも建てられる?
カーポートを建てようとする場合、そもそも敷地内に建てられるか確認する必要があります。
敷地には、都市計画区域外でなければ建蔽率と容積率が設定されています。
建蔽率とは、敷地面積に対する建築面積(≒屋根投影面積(上空から見た建物の面積))の割合です。
容積率とは、敷地面積に対する延べ床面積の割合です。
容積率で引っかかることはあまりないですが、建蔽率は可能性があります。
住居系の用途地域の場合では、制限が厳しい地域があるため、既存の建築物の建築面積が大きい場合、カーポートを建築する余裕がない場合があります。
また、敷地境界からの外壁後退距離が設定されている区域もあります。
敷地に設定されている制限をよく確認し、敷地内に建築できる余裕があるか、どのくらいまで可能なのか確認する必要があります。
そのカーポートの屋根(壁がある場合は壁も)は大丈夫?
都市計画区域内で用途地域が設定されている場合は、少なくとも屋根不燃区域(法第22条区域)以上(防火地域・準防火地域)が設定されているはずです。
この場合は、最低でも屋根の構造を不燃材料で葺くか造らなければなりません。
よって、設置しようとするカーポートの屋根が、敷地に設定されている制限に適合しているか確認する必要があります。
なお、壁については、延焼の恐れのある部分が生じる場合は検討する必要がありますが、既存建築物とカーポートの合計の面積が500㎡を超えない場合は、既存建築物とカーポートの間の延焼は検討しなくても問題ありません。
確認申請は必要?
確認申請が必要かどうかは、建てる場所や規模によって違います。
パターン毎の確認申請の必要性の有無は下記のとおりです。
なお、ここで言うカーポートは、一般的によく見るものを想定しています。
つまり、鉄骨造(アルミニウム合金造だったりもします)で平屋のものです。
また、今回は、敷地内にすでに住宅等の建築物が建っていて、カーポートを敷地内に増築することを想定しています。
更地に建てようとする場合は、こちらをご覧ください。
- カーポートの床面積が200㎡を超えるもの → 必要
- 敷地が防火地域又は準防火地域内 → 必要
- 防火地域及び準防火地域以外で、カーポートの床面積が10㎡以下 → 不要
- 都市計画区域外、準都市計画区域外及び準景観地区外並びに都道府県の指定区域外で、カーポートの床面積が200㎡以内 → 不要
1番について補足すると、カーポートは、用途としては自動車車庫になります。
特殊建築物なんですね。
なので、200㎡を超えるといわゆる「1号建築物」(法第6条第1項第1号に該当)ですので、確認申請が必要になります。
床面積の取り方については、自治体(特定行政庁)毎に違ったりします。
柱が四隅にある場合は柱中心線で取りますが、屋根が柱より出ている場合は屋根の先端から1mバックしたラインとか、場合によっては屋根投影面積全体と言われることもあるかもしれません。
屋根の中であればどこにでも車を停められる訳ですから、用途が発生すると言われればそうなりますね。
この辺は自治体に確認が必要かもしれません。
ちなみに、ホームセンターで買った場合は、おそらく確認申請まではやってもらえないと思いますので、自分で申請するか、建築士事務所に依頼する必要があります。
確認申請が自分でできるかは、こちらをご覧ください。
ホームセンターや建設会社に頼めば大丈夫かと言うと…
ホームセンターは、カーポートを建てようとする敷地にどのような制限があるのか調査してくれません。
ホームセンターは単にカーポートという商品を売っているに過ぎないからです。
また、建設会社に頼んだとしても、建築士事務所を兼ねている建設会社であればしっかり対応してくれると思いますが、そうではない場合は、法適合性までのチェックをしてくれるかは怪しいです。
建設を依頼する際に確認申請まで対応してもらえるか確認しておきましょう。
カーポートを建ててしまってから法律に違反することが分かった場合、撤去しなければならない可能性もあります。
事前によく確認した上で建築することをお勧めします。
とある北寄りの地方で、建築職の地方公務員として20年以上の勤務経験があります。
住宅の性能に着目した家づくりの重要性についてお伝えしています。
【保有資格:一級建築士・(特定)建築基準適合判定資格者】