建築基準法で定められている住宅に関わる基準

建築基準法で定められている住宅に関わる基準

以前の記事で、家を建てるときに最低限知っておいて欲しい法律をご紹介しました。

このうち、住宅の性能や安全性に関係する法律として、建築基準法を取り上げました。

また、建築基準法は「最低の基準」であり、建築基準法を満たしたからといって、必ずしも建て主であるあなたが求める性能の住宅が建つ訳ではないことも併せてお知らせしたところです。

それでは、建築基準法にはどのような基準が設定されているのでしょうか

立地や面積に関する基準

人がそこに住まうためには、一定のインフラ(電気・ガス・水道など)の整備が必要になりますし、万が一の場合、消防車や救急車が近くまで行ける必要があります。

また、世の中には色々な用途の建築物がありますが、例えば工場の隣に住宅があったりすると、生活環境に影響が出てしまいます。

これらのことから、住宅の立地については、一定の制限が課されています。

具体的な制限としては、都市計画区域内の敷地に住宅を建てようとする場合は、敷地が道路に最低2m接していなければなりませんし、用途地域が設定されている場合は、地域によっては住宅は建てられません

また、あまりに密集して建築物が建てられていると、火災の延焼に繋がる他、日射の取得や通風が悪くなるなど地域や町全体として考えた場合の居住環境の悪化、交通量が増加してしまうことによる通行上の支障などが発生してしまいます。

このことから、敷地に対して建てられる住宅の面積については、一定の制限が課されています。

具体的な制限としては、建蔽率(敷地面積に対する住宅の水平投影面積の割合)や容積率(敷地面積に対する住宅の延べ床面積の割合)が、用途地域や敷地が接する道路の幅員により決められています

また、用途地域によっては、より居住環境の向上を図るため、敷地境界線から住宅の外壁まで行って以上の距離を空けなければなりません。

構造に関係する基準

建築基準法では、住宅の構造について、次の性能を満たすことが規定されています。

  • 極めて稀に発生する地震(震度6強から7程度)及び風により倒壊しないこと
  • 稀に発生する地震(震度5強から6弱程度)及び風により損傷しないこと

ここでのポイントは、極めて稀に発生する地震及び風に対しては損傷を許容していることです。

損傷は許容していますが、倒壊により居住者の生命が脅かされることのないというのが、建築基準法で定められている基準です。

一方で、建て主からすれば、万が一大地震や大きな台風に見舞われた場合に住宅が壊れてしまったら困りますよね。

現実的に絶対に壊れない家をつくることは困難ですが、壊れにくい家にすることは可能です。

建築基準法では、ある一定の地震力や風圧力に対して安全性を確かめることとなっていますが、その地震力や風圧力を割り増して安全性を確認することで、地震や風に対して壊れにくい家にすることが可能です。

防火に関する基準

木造住宅が主流であり、特に都市部では密集して建てられることが多い日本の住宅において、火災を防ぐことは重要な課題です。

よって、火災が発生しても住宅全体に燃え広がりにくくしたり、近隣の建物に燃え広がらないようにするための基準が設けられています。

例えば次のような基準が設けられています。

  • 火気使用室(台所など)の内装を燃えにくい材料にすること
  • 3階建て以上の場合などは、住宅を燃えにくい構造とすること。
  • 建物が密集している地域(防火地域・準防火地域・屋根不燃区域など)では、住宅(全体又は一部)を燃えにくい構造とすること

生活環境に関係する基準

人が住宅で健康的かつ安全に生活する上で最低限必要な性能として、次のような基準が設けられています。

  • 居室には採光や換気を行うための一定の開口部を設けること。
  • シックハウス対策(建材の制限及び換気設備の設置)を講じること。
  • 居室の天井高さや階段の構造(寸法や手すりの設置)。

ここでのポイントは、住宅の省エネ性能やバリアフリー性能については規定されていないということです。

省エネ性能については、建築物省エネ法という別の法律で規定がありますが、住宅については、現時点で省エネルギー基準への適合義務はありません。ただし、2025年までには義務化されることとなっています。

一方で、高齢社会である日本において重要な住宅のバリアフリー性能についても、その基準は設けられていません。

建築基準法で定められていない性能は自分で補足する

建築基準法の住宅に関わる基準について、主なものをご紹介しました。

こうしてみると、建築基準法では、基本的な性能しか定めていないことが分かります。

このことから、自分で住宅に求める性能を決定し、住宅の設計又は施工を依頼するハウスメーカーや工務店に対して伝えることが必要です。