結論から言えば、申請自体はできます。
ただし、確認済証の交付をスムーズに受けることができるかは場合によります。
まず、確認申請は「建築主」が行うものなので、建築主自身若しくはその代理者が必要書類を揃えて申請することになります。
確認申請を自分でしようとする方の状況は、次の4パターンに分かれると思います。
- 建築主が建築士である場合
- 建築士に申請の代理を依頼する場合
- 建築士に添付図書を揃えてもらい、申請自体を建築士ではない建築主が行う場合
- 建築士ではない建築主が設計し申請する場合
それではパターン毎に見ていきましょう。
①建築主が建築士である場合
この場合は全く問題ありませんね。
申請書類の作成も、添付図書の作成も問題なくできるでしょうから、申請書類の整備に手間取ることはないでしょう。
また申請した後に申請先から質疑等があった場合でも、すぐに対応ができるでしょうし、この3パターンの中では最もスムーズに確認済証の交付を受けることができるでしょう。
②建築士に申請の代理を依頼する場合
この場合も問題ありませんね。
申請の権限を建築士に委任しているので、「建築主が建築士である場合」と同じです。
申請の代理を建築士にお願いする費用を負担する必要はありますが、設計を依頼した建築士に申請も併せてお願いするのが普通ですから、そこまで大きな負担とはならないでしょう。
③建築士に添付図書を揃えてもらい、申請自体を建築士ではない建築主が行う場合
この場合は、要するに代理者(=建築士)を立てないで確認申請をするパターンです。
添付図書(図面等)は建築士に揃えてもらえますが、確認申請書は自分で作成しなければなりません。
ただ、確認申請書の記載内容は図面を見れば書ける内容ですので、申請先に申請するまではなんとかできるかもしれません。
ただ、時間はかかるでしょう。
また、申請先からの質疑等は建築主に来ます。
設計内容については建築主で分からない部分も多いと思いますので、設計者である建築士に聞いて、それを申請先に回答しなければなりませんので、その手間がかかります。
その手間と申請の代理に係る費用を比較して、どちらを取るか考えるということになります。
④建築士ではない建築主が設計し申請する場合
この場合が、最も難航するパターンです。
また、申請先に嫌がられるパターンでもあります。
以前の記事で、建築士ではない者が設計できる建築物もあることをお伝えしました。
建築士ではない方がその範囲内で設計し、自ら申請することは、法律上は可能です。
ただし、この場合、次のハードルをクリアしなければなりません。
- 添付図書(図面等)の作成
- 確認申請書の作成
- 申請先からの質疑対応
まず、添付図書(図面等)の作成が最もハードルが高いです。
自分で設計するということはある程度の建築の知識を持っていると思われますが、それでも困難だと思います。
なぜなら、建築士が設計していれば添付しなくてもいい図書を、全て添付しなければならないからです。
なぜそうなっているかは別の機会に解説しますが、ここでは、建築士ではない者が設計する場合は、確認申請書に添付する図書が、建築士が設計した場合に比べて格段に多いということだけお伝えしておきます。
確認申請書の作成については、前述のとおり、時間がかかるかもしれませんができないことはありません。
確認申請書と添付図書が準備できたら申請すればいいのですが、建築士ではない方が作成した図書は、ほぼ100%不備だらけです。
申請先の窓口で、特に添付図書に不足があれば、基本的に受け付けてもらえません。
また、申請書が受理されたとしても、その後の審査により、申請先から山のような質疑等が寄せられます。
それをひとつひとつ確認し、図書を修正し、申請先に説明しなければなりませんので、かなりの労力と時間を要します。
この労力と建築士に依頼する場合の費用を比較すると…皆さんはどう考えますか?
以上、パターン別に解説してみました。
多くの皆さんが確認申請に関係するのは、自宅の建築時かと思います。
どのパターンにするか、今回の内容が検討の一助となれば幸いです。
とある北寄りの地方で、建築職の地方公務員として20年以上の勤務経験があります。
住宅の性能に着目した家づくりの重要性についてお伝えしています。
【保有資格:一級建築士・(特定)建築基準適合判定資格者】