住宅の性能を評価する制度として「住宅性能表示制度」というものがあります。
この制度は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく制度で、住宅の性能を客観的に評価することができる制度です。
この制度は、住宅の性能を次の10の分野で評価し、各分野内にある項目毎に「等級」で表示するものです。
- 構造の安定に関すること
- 火災時の安全に関すること
- 劣化の軽減に関すること
- 維持管理・更新への配慮に関すること
- 温熱環境・エネルギー消費量に関すること
- 空気環境に関すること
- 光・視環境に関すること
- 音環境に関すること
- 高齢者等への配慮に関すること
- 防犯に関すること
この制度は平成12年に作られているのですが、イマイチ浸透していないように思われます。
その理由としては、「分かりにくい」ということに尽きます。
項目が多すぎる上に、項目毎に最高の等級が違うのです。
今回は、このうち「温熱環境・エネルギー消費量に関すること」(=「省エネ性能」)を例に解説していきます。
「温熱環境・エネルギー消費量に関すること」については、次の2つの評価項目があります。
- 温熱環境(断熱等性能等級)
- エネルギー消費量
前者は等級1から7までですが、後者は等級1から6まであります。
さて、この等級ですが、数字が大きい方が性能がいいということになります。
よって、温熱環境は等級7が、エネルギー消費量は等級6が、最高等級です。
ただ、ここで注意した欲しいのが、「この制度上の最高等級である」ということです。
同じ最高等級であるからと言って、同じ性能であるということではありません。
幽遊白書というマンガをご存じでしょうか。
休載が頻発することで有名な「HUNTER×HUNTER」の作者である、冨樫義博さんのマンガです。
この幽遊白書は、霊界(人間界)と妖怪(魔界)との闘いを描いた作品ですが、終盤で妖怪がランク付けされていることが明かされます。
確か、D級からS級まであったかと思うのですが、そのランクは霊界が定めた基準であり、霊界では太刀打ちできないレベルの妖怪をまとめてS級と称しており、同じS級でもピンからキリまであります。
これと同じで、住宅性能表示制度上の最高等級であっても、それは一定のレベル以上であるということを示しているに過ぎず、その性能はピンからキリまであるということです。
そして、この省エネ性能の最高等級のレベルがMAXではありません。
省エネ性能が最高等級だからと言って、それ以上の性能が無いという訳ではないということです。
このことは、住宅性能表示制度の他の項目にも当てはまります。
等級だけを見るのではなく、その等級がどういったレベルのものであるか、十分に把握しておく必要があります。
「省エネ性能」のレベルについては、別の記事を御参照ください。
とある北寄りの地方で、建築職の地方公務員として20年以上の勤務経験があります。
住宅の性能に着目した家づくりの重要性についてお伝えしています。
【保有資格:一級建築士・(特定)建築基準適合判定資格者】