「確認申請は自分でできる?」の回で触れましたが、一定の用途・規模の建築物の場合は、建築士が設計すると確認申請の添付図書が軽減されます。
今回は、その根拠について解説していきます。
条文としては、法第6条の4になります。
(建築物の建築に関する確認の特例)
第六条の四 第一号若しくは第二号に掲げる建築物の建築、大規模の修繕若しくは大規模の模様替又は第三号に掲げる建築物の建築に対する第六条及び第六条の二の規定の適用については、第六条第一項中「政令で定めるものをいう。以下同じ」とあるのは、「政令で定めるものをいい、建築基準法令の規定のうち政令で定める規定を除く。以下この条及び次条において同じ」とする。
一 第六十八条の十第一項の認定を受けた型式(次号において「認定型式」という。)に適合する建築材料を用いる建築物
二 認定型式に適合する建築物の部分を有する建築物
三 第六条第一項第四号に掲げる建築物で建築士の設計に係るもの
2 前項の規定により読み替えて適用される第六条第一項に規定する政令のうち建築基準法令の規定を定めるものにおいては、建築士の技術水準、建築物の敷地、構造及び用途その他の事情を勘案して、建築士及び建築物の区分に応じ、建築主事の審査を要しないこととしても建築物の安全上、防火上及び衛生上支障がないと認められる規定を定めるものとする。
この条文を要約すると、「第1項第1号から第3号に該当する建築物については、確認申請の審査の対象となる規定が少なくなりますよ」ということです。
第1号と第2号については、いわゆる大手ハウスメーカーなどの建築物です。
大手ハウスメーカーは、あらかじめ「こういう仕様・規格で作ります」という申請をして、認定を受けています。
これを「型式適合認定」といいます。
認定の中で一部の法の規定への適合性が審査されますので、その仕様・規格で作ればその規定に適合することが明らかなので、認定部分について確認申請の審査の対象から除かれているということです。
次に、第3号が、建築士が設計した建築物です。
ただし、法第6条第1項第4号に該当する建築物のみが対象となります。
「4号特例」と言われるものです。
法第6条第1項第4号建築物は、特殊建築物で200㎡以内、非木造平屋かつ200㎡以内、木造2階建て以下かつ500㎡以内のいずれにも該当するものですから、比較的小規模な建築物になります。
これらのものについては、規制の対象となる事項も限定されますので、専門的な知識を有する建築士であれば、もちろん問題なく設計できるはずだということで、既定の一部が確認申請の審査から除外されています。
一般の戸建て住宅であれば、審査対象となる項目はかなり少ないです。
審査の対象外となる事項については、確認申請の添付図書の提出が必要なくなりますので、添付図書が軽減されることになります。
このことを悪用し、主に住宅の設計施工を一括して受注する工務店などにおいて、ろくに設計をしないで建築工事を行い、後日法律違反が発覚して処分される建築士が出てきました。
このことから、建築基準法を所管する国土交通省では、この「4号特例」を廃止する動きもありましたが、現時点では廃止に至っていません。
真面目にやっている建築士にとっては4号特例はいい制度ですが、悪用する建築士がいる以上、遠からず廃止されることになりそうですね。
とある北寄りの地方で、建築職の地方公務員として20年以上の勤務経験があります。
住宅の性能に着目した家づくりの重要性についてお伝えしています。
【保有資格:一級建築士・(特定)建築基準適合判定資格者】